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コロナ禍で拡がる社会の分断について

· 美しく優しい社会づくりの研究会

 気が付けば師走。1年ぶりの記録となりました。私達の活動としてのコミュニケーションの多くがオンラインに置き換えられ、今年も試行錯誤しながらの日々でありました。

 2021年以降の研究会の活動は”コロナ禍による社会の分断”をテーマとし、量的調査の収集と社会的排除に関する情報を注視して参りました。本日は伝統的な性別役割規範と女性の困難さに焦点を当てて考察結果を報告いたしました。

 その内容の一部を紹介しますと、日本では1960年代以降、男性の長時間労働による生産性の最大化を目的とし定着された日本的労働慣行が労働社会に強固に定着しています。そのため、女性の役割は労働社会では補佐的かつ不安定な立場におかれやすく家庭では家庭のケアを担い、また労働力再生産の役割に位置付けられてきました。その後、経済的生産性を女性に求めて日本の経済活性化を図った女性活躍推進法等制度面と意識両面の改革が推進されてきた経緯があります。ところが、コロナ禍の経済社会活動の停止とステイホームという外部への家庭内ケア機能委託の停止は、多くの女性が失業等による経済的困窮、家庭内で急増したケア機能を担う役割について社会から要求される立場に追いやられ、それらによる心身への負担が増悪していたことが考えられます。そのことが、従来にない専業主婦層の自死や家庭内暴力の急増という調査結果の背景と考えられました。

 つまり制度が整備され社会全体の男女同権の意識は向上されているが、実態として社会のセーフティネットから洩れ落ち、救われずに命を失う人々が存在する課題に今も直面している、ということです。これらコロナ禍で照射された社会的弱者の社会背景について、なぜ支援されなかったのか、どのような仕組みが必要なのか、そうした観点に基づき、一次資料からの研究が求められていると感じました。

 日々、同じ問題意識を共有し、それぞれの現場から示唆を与えてくれる3人のメンバーに敬意と感謝を。感染防止のため、フィールド調査やインタビュー調査は、安全が担保されてからの実施となるようですが、引き続き活動して参りたいと思います。

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